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JORMUNGAND、Screaming Tranceの解説です。
以下の内容は
作詞、作編曲等を行った僕が作るにあたって意図した事でありさほど重要な事ではありません。
一番大切なのは聴いた人がどう感じたかであるので「へー、そうなんだー」程度に捉えてください。
それと出来れば以下の解説についてはCDやDL販売等で聴いた後に読んでくれると良いと思います。
解説
今作は全体を通してシンセサイザーの登場率を増やし、オーケストラの登場を減らしました。
オーケストラ系音源を使ったのは1曲目(SE)と7曲目、あと4曲目の1部でヴァイオリンとヴィオラだけ使ってますがその程度です。
理由は色々あるんですが、主な要因としてオーケストラ系をばんばん使うのは5150でやっているし、10年数年前ならともかく現在オーケストラと疾走ドラムの組み合わせは普遍的でJORMUNGANDでまでそっちに傾向していくのはどうなのだろう?と考えたからです。
オーケストラからシンセ主体にし、そしてシンセと相性が非常に良いギターリフに力を入れる事でその効果と影響を強調しています。
収録曲のバランスについてですが、捨て曲を排除し代わりにジャンル違いの曲を混ぜる事で口直し的効果を狙った構成になってます。
Screaming Trance、Blast on myself、革命エクソリア、I Just Feelingのようなメタルテイストのある曲に対して665、Libertyといったジャンルがかなり異なる曲を収録してバランスを取っています。
また、メロディについて前作ではメロスピ的な考えを意識していましたが、今作では日本人らしさをメインに出しました。
日本人らしさと言うと民謡や演歌のそれがまず頭に浮かぶかと思いますが、J-POPや特にアニソンのメロディラインは国外でまずお目にかからない形をしており、これもまた日本人らしさの一つの質だと思っています。
英語を基本とするメロ作りをするメタルとは思考がかなり異なるので両立は難しいのですが、メタルという硬く激しい波に流されずメロディの質と歌詞や譜割りの関係に気をつけ尊重しながら作編曲を行いました。
詞と曲のために、それでいてヘヴィメタルの中でも生きている事をサウンドに刻み込む事で2つの質が珍しい配分で合成されたサウンドになっているはずです。
歌詞についても前作以上に力を入れました。
実は作曲編曲よりも作詞の方が時間かかってます。
自分の言葉で自分らしく書いてますが、やはり合う合わない性格があるように人によっては共感しかねる内容かもしれません…。
上記の事が上手く作用し、結果的に良いCDになっていれば幸いです。
Road leading (inst)
いつものインストです。
特筆する点は無いのですが、強いて言うとすると2曲目のScreaming Tranceのメロを使ってます。
Screaming Trance
アルバム表題曲で現段階におけるJORMUNGANDらしさを全面にだした曲です。
今作は全体的にイントロにおけるギターリフの強化を行っているのですが、歌モノ一発目という事でリフという意味ではこの曲が一番強いものを使ったつもりです。
前作の反省点、尺とギターソロの扱いについてを見直して4分台に曲を収めてます。
通常はメタルの場合繰り返し等で尺を伸ばしてでも余白のようなものがあるケースが多いのですが、この曲は余白が全然無い忙しい曲です。
近年の疾走メタルに比べてテンポが遅めですが、これはアニソンライクなメロディを尊重するための判断です。
制作順序的にこれが1番最初に着手したので、このアルバムにおいて各パートの存在をどういった配分にすべきかをこの曲で決めました。
シンセサイザーのアプローチについてもこの曲で実験を行なったので、結果的にこの曲は革命エクソリアの次にパート数が多いです。
4つ打ちの曲におけるシンセの扱いと疾走曲におけるシンセの扱いには結構差があるのですが、この曲では強引に4つ打ち的なフレーズをガンガン入れてます。
それとこの曲で始めて効果音トラックを導入しました。初めてなので結構手間がかかりました…。
中間の間奏、ギターソロをポップス並に短くした代わりにアウトロの尺を全部ギターソロにしました。
こういった構成の場合ギタリストが下手だと苦痛以外の何でも無い形になってしまうので頑張って弾きました。
I Just Feeling
今作唯一のグロウルボーカルを入れた曲で、テンポも最速です。
実は2014年に出したJORMUNGAND1枚目の時点でこの曲は出来ていたのですが、あっちの収録曲に似たテンポ感のDistanceという曲を収録することになってたのでボツにしたものです。
と言っても当時出来ていたのは1コーラス終了の所までなので、2番終了後の間奏等は新たに書き足しました。
間奏部分のリフはイントロなどでは使えないタイプですが、今作の中のリフでも1番気に入ってます。
この曲は繰り返しの多用を意識しました。
イントロのシンセフレーズはサビのバックでも流れ、そしてサビでJust Feelingというフレーズが何度も使用されます。
これはK-popや正統派メタルを聴いてて「もっとメロディアスにして刷り込めるような曲できないかな…」と思いついて作りました。
Aメロ後半のグロウルパートの入りが食い気味なのも聴く人に驚きと強い印象を植え付けるためです。
言葉も「Just now!(今すぐに)」という強い言葉を選びました。
歌詞の内容は基本的に自分を奮い立たせる内容で、僕が日頃考えている事ばっかり書いてあります。
「Pleas me → Trust me」というフレーズがサビ最後に入ってますが、自分に対して自分を信じろ、という意味です。
665
この曲はまずメンバーにデモを提出する段階から既に不安いっぱいでした。
なんせジャンルがジャンルなので受け入れられる確証が一切なかったからです。
バスドラムの4つ打ち、ベースのスラップ、ギターのカッティング、シンセの効果音的アプローチ、非人間的な歌メロ、とどれを取っても否と言われかねない仕様です。
結果的にこの曲はメンバー内でも好評で音源化前の段階でもライブでプレイする程度には親しまれたので安心しました。
今まで5150にも無いし個人的にも書いたことのない方向性の曲です。
この曲、というかこのテのジャンルを書けるようになるためにゲーセンとCD屋さんに結構通いました。
裏話でもないんですが制作過程でデモと大きく変わるアレンジが施されました。
ギターソロ明けのB3メロ、スウィングのリズムになる箇所については当初他のBメロと同じだったんですがベースの坂さんに「ウォーキングベースにしてください」とリテイクしてもらったところ、ドラムの森川君が「じゃあ自分もベースに合わせてリズムを…」となってこの形になりました。
おかげで雰囲気がいい感じに変わって良かったです。
「665とはどうゆう意味なのか?」という質問を既に何度か受けているのですが、悪魔の数字666の一つ手前、悪魔のなりかけという意味で665というタイトルになってます。
歌詞には遊び言葉が多くふざけているようで、それでいて結構辛辣なものにしました。
努力それ自体に価値は無く、自由を求めているあなたは既に自由で逃げ場は無く、誰もが時に狂いそうになる厳しい世界で楽しく生きる665、という内容です。
歌詞の雰囲気をさらに能天気にするためにシンセはレトロゲーム的なアプローチをして非現実感を煽っています。
悲観的なのか楽観的なのかどちらとも取れる内容ですが、それらを踏まえつつも楽しい曲を目指しました。
Blast on myself
Screaming Tranceに続く疾走曲、その2です。
シンセをさらに強く推しているのにギターの存在感が強めです。
Screaming Trance同様にメロディはポップス、アニソンの考えを基本としつつ疾走メタルのそれを取り入れています。
パートの動き的に面白いな、と思ったのは2番サビ終わってからの箇所です。ギターソロ前ですね。
ここは普通にジャーンと流して余白的な場所にしようと思ってたのですが、坂さんと森川君がここぞとばかりに攻めてきてます。
どちらも引き下がらず、かつ破壊し合わずカオスな展開を起こしてるんですがギターソロが入ると1本の流れに収まってます。
ギターソロについてはバッキングのパターンがチャラチャラしておりとても気に入ってます。
合間合間に入るリフはギター的ではなくシンセ的で、ダンス系なんかで使用される形なんですがこれの影響でギター弾きまくりなのにメタルっぽさがかなり薄いです。
この箇所に限らずこの曲のシンセバッキングパターンは全体的にそんな感じなのでメロのアニソンっぽさをより強調する形になってます。
しかしドラム、ベース、はかなりメタル的な角度から攻めているのでこういった点がJORMUNGANDらしいな、と思ってます。
尚、ギターはトランス的な角度から攻めてます。
Liberty
尺が今作で1番長い曲です。
1コーラス終了時で1分半で、特に長いギターソロ等も無いのですがサビの回数が多いのが主な原因です。
歌詞を重視した構成になっているので基本的に歌いっぱなしです。
歌いっぱなしにも関わらず何げにリフの種類が多く、そして今作で唯一のアコギを使用した曲です。
ギターソロのバッキングから登場です。
アコギはかなり万能な楽器でサウンドに生っぽさを入れたい際に便利です。
オーケストラと相性が良く、僕は疾走曲でも使ったりするんですがJORMUNGANDはシンセのデジタル色が強い影響であんまり使えません。
イントロのギターでワーミーを使ったりダブステ的なシンセ効果音を連発したりと飛び道具も使いまくりです。
今作でシンセのパート数が革命エクソリアの次に少なく、主なサウンドをバンド帯で構成しており鍵盤の代わりにバッキングギターが高音に上がっていったり…等が多いです。
実はギターが一番めんどくさい曲かもしれません。
革命エクソリア
今作唯一、シンセが使用されていない曲です。
基本的に5150の四季楽典で培った技だけで作られているのですが、今までと違う点を挙げるとするとハープシコードの使い方です。
今までハープシはBメロで流れを繋ぐために使っていたのですが、この曲ではAメロでクラシカルな雰囲気を許可するために使用してます。
曲のラストでも終わりに導くためにハープシのみのパートを作ったりとこれらについては初の試みです。
冒頭のリフ箇所で使っているフレーズだけみーやさんに参加してもらい、それ以外の合唱は僕が1人でやってます。
こうゆうのをやる時はシンフォ東方とかやっててよかったなぁ…と思います。大変ですが。
ポイントはハモるだけでなく合唱は合唱で独立したメロを歌っている点だと思います。(四季楽典最終章で多用した手法です。)
この曲の歌詞はJORMUNGANDを称える内容でライブを意識して書きました。その割に演奏も歌も激難ですが。
言葉のチョイスも他の収録曲とかなり違うんですが、これはシンセではなくオーケストラで色付けをする曲なのでそれに合わせたボキャブラリーに切り替えて書きました。
このボキャブラリーと言いますか、脳の切り替えがこの曲を作るにあたって1番大変でした。
中盤に入るベースソロですがその華々しさの裏、バックのドラムが何げにかなり難しいらしいです。地味ですが。
おわりに
解説を書くのが相当大変な事に今回気付きました。
ここまで読んでくださった方はありがとうございます。
ゲンソウオー伍式同様にがーっと書いたので文章的にアレかもしれないのですがご容赦ください…。