目次 -Contents-
ジェームスタイラー!!
それはハイエンドギターの先駆け的な存在であり、マイケルジャクソンのスリラーを始めとした数多の伝説的な曲で使用された実績を持ち、そしてめちゃ高いギターである!!
タイラーを長らく使ってますがサウンドはパーフェクトであらゆる場面で使える頼れるギターです。
弱点は値段。そう気軽に「サブとしてもう一本欲しい~」が出来ない。
前置き
ジェームスタイラーは基本的に全てオーダー生産になるので、楽器屋で売ってるものについても楽器屋からのカスタムオーダーしたギターです。
一応ホームページには大まかなラインナップが掲載されているのですが、実際はそれ以上に様々なバリエーションが存在してます。
そしてどうゆうわけか、その仕様の詳細、種類について日本語で良い感じにまとまっているサイトが見当たらず、タイラーのギター選びをより困難にさせてると思います。
オーダーで買う場合は楽器屋が代理店から提供されている情報を元に色々選ぶだけで良いと思いますが、問題は普通にデジマートとかで探す場合で、比較するにしても前提となる情報が少なすぎてよくわからないんですよね。
これは困った…もう自分でまとめちまうか…!! というのがこの記事です。
James Tyler Guitarsのブランド
現在は本家アメリカ産と日本産とでブランド名が分かれてます。
名称は異なりますがJapanの方は単なる廉価版ではなく、同じCADデータを用いた上で本家の監修のもと徹底的に作りこまれた仕上がりになってます。
Japanのラインナップは当初かなり少なかったのですが、最近は充実しておりバーニングウォーターのようなジェームスタイラーを代表するギターもJapan製のものが存在します。
また、その他にJames Tyler Japanが発足するより10年以上前の2002年頃に日本製James Tyler(国内ギター工房dragonfly制作)というものが存在しており、「Studio Standard HD」というモデルを出していましたが現在は絶版となっています。
本家USAとJapanの違い
本家とJapanは差別化を図るために、USAでしかオーダー出来ない仕様がいくつかあります。
代表的なところだと
- ボディのリブド加工(ホロウ加工)はUSAのみ可能
- ネックシェイプのうちVEE等の太い仕様はUSAのみ可能
- カラーリングのうちUSA限定のものがいくつかある
等が挙げられます。
同じ材、同じデータ、同じ工法で作られてますが音についても違いがあり、同じ仕様であってもアンプ無しの生で鳴らすと結構顕著にわかります。
個人的にはUSAの方がローミッドが強く、Japanの方が高域が立ってる印象です。
ただ楽器としてのトータルバランスが優れているのか、どちらもアンプから音を出すと「ジェームスタイラーだ!!」という文句なしに一級品の音が出るので好みの問題だと思います。
ちなみに値段は相対的に見るとJapanの方がだいぶ安いです。
James Tylerのギターラインナップ
左から順に、Studio Elite(スタジオリート)、Ultimate Weapon(アルティメットウウェポン)、Mongoose(マングース)、Classic(クラシック)、Tylerbastar(タイラーバスター)、です。
このうちJapanではStudio Elite、Classic、Tylerbastar、の3つのみ製造しています。
これらは言ってしまえばボディ形状のパターンなので実際はパーツ、材料、配線等に様々な選択肢がありオーダーによって仕様が異なるためあんまり参考になりません。
スタジオリートと何が違う!?と言うような仕様のクラシックも存在する。
Studio Elite(スタジオエリート)シリーズの種類
全てのラインナップに色々とオプション仕様があるのですが、その中でも最もスタンダードであるスタジオエリートの種類について紹介します。
調べ始めた際、なかなか混乱したんですけどスタジオエリートにはコントロール系統によって代表的な3種類のバリエーションあります。
Studio Elite
最も基本的なStudio Eliteで、最も多くの音色を使用する事が出来る仕様。
最近は後に紹介するHDの方が主流になってますが、タイラーと言えばこれ!という仕様です。
トーンボリューム無し、ミッドブースター搭載、スイッチがたくさんある仕様です。
各スイッチの詳細はこんな感じ↓
ぱっと見で面倒そうなスイッチ類ですが、1本のギターであらゆるジャンルを弾きこなす必要があるスタジオワークを想定しているため、ちゃんと使えばとてつもない幅の音色を網羅できます。
Studio Elite HD
最近主流のモデルで、スタジオエリート!と言ったら大抵この仕様。
ノブの真ん中がミッドブースターの調整になっている他、ボリュームの横にあるボタンを押すことでブースターのオンオフを切り替える事が出来る。
シンプルな操作性で「まさにタイラーの音!」という音を出せるから今主流なのかな、と思います。
Studio Elite HD-P
ミッドブースター無しのパッシブ回路のスタジオエリート。
一般的なストラトと同じなので詳細は省きます。
ミッドブースター回路を経由させるとアタック感がちょっと抑えられちゃうので、それが苦手な人はこの仕様が良いのかな、と思います。
オーダー時のオプション次第なので上記の3種の他にも配線については種類が存在するのですが、一応代表的なものとしては以上になります。
その他にもトップ材の有無、ピックガードの有無、シンクロナイズトレモロかロッキングトレモロか否か等の様々なバリエーションがあります。
James Tylerのギター共通スペック
全種に共通する仕様として下記の5つがあります。
- スケール:647mm
- ナット幅:41.3mm
- 弦間隔:10.5mm(ブリッジで計測)
- フレット数:22フレット
- ネック塗装:サテンフィニッシュ
- その他:ヒールカット、クオーターソンネック
スケールはストラト等のフェンダー系に多い、所謂ロングスケールを採用しています。
ナット幅はフェンダーストラトだと42mmが多く使われているのですが、タイラーはその基準でみるとナット幅は狭めです。
James Tylerの木材の種類
ボディ材
- マムヨ
- アルダー
- スワンプアッシュ
- メイプル (トップ材としてのみ)
ネック材
- メイプル
- マホガニー (マングースとアルティメットウウェポンのみ?)
指板材
- メイプル
- ローズウッド
一般的な木材が主ですが、ボディ材のマムヨだけはタイラー独自とも言える材で他のギターメーカーでは使用されていません。
マムヨはマレーシア産の「ジェルトン」という種類の木材のようで、系統としてはバスウッドに近いです。
サウンドとしては、鳴りがよく丸みのある音質で、中域の上から下まで幅広くカバーするが超高域や低域は多くない、という傾向にあるようです。
スタジオエリートでマムヨが標準採用されてます。
James Tylerのネックシェイプの種類
- 【Extra Thin】 750 at 1st fret / .915 at 12th fret (Japanは基本的にこれ)
- 【Thin】825 at 1st fret / .950 at 12th fret
- 【Standard】 845 at 1st fret / .975 at 12th fret (USAは基本的にこれ)
- 【Fat】875 at 1st fret / .985 at 12th fret
- 【VEE】880 at 1st fret / .990 at 12th fret
上記の5種が存在しており、VEEを除いた3種は1959シェイプという形状になっています。
また、James Tyler USAはStandardを基本として採用しているので出回っている個体は大抵Standard ’59-Shapeのネックシェイプです。
これに対してJapanは現在、基本的にExtra Thinを採用しており出回っている個体はExtra Thin ’59-Shapeが多いです。
USAについてはオーダーすれば全てのネックシェイプを選べるようですが、Japanは今のところExtra Thin ’59-ShapeかStandard ’59-Shapeの2択のようです。
ネックの太さはサウンドと演奏性に大きく関与する要素なので気を付けたい箇所ですが、単純に見た場合、レンジの広さはUSA、テクニカルに弾くならJapanの方が良い…?と見る事も出来ます。
James Tylerのフレットサイズの種類
フレットにはニッケルシルバー製のものを採用しており、サイズは下記の2種です。
- Wide / Tall: .110” x .055” / 2.8mm x 1.45 mm (恐らくジェスカーの57110)
- Narrow / Tall: .090” x .055” / 2.3mm x 1.4mm (恐らくジェスカーの55090)
どちらも大型のフレットを採用しています。
個別にみると、Wideの方はStudio Elites(スタジオエリート)、Mongoose(マングース)、Ultimate Weapons(アルティメットウウェポン)等のモダンなタイプのギターで採用されています。
Narrowの方はストラトを模したClassics(クラシック)と、テレキャスターを模したTylerbastar(タイラーバスター)といったビンテージを意識したモデルで採用されています。
James Tylerのピックアップ
昔はセイモアダンカン等の市販のピックアップを乗せていたようですが、現在は基本的に下記オリジナルピックアップのどれかが乗っています。(オーダーする場合はタイラー以外のピックアップも指定可能)
在庫リストなどを見ればわかる通りスーパーストラトの典型とも言えるSSH仕様が多いのですが、HSH、HH、SSS等のバリエーションもあります。但し、SHは滅多に無い。
ハムバッカー
高出力
- California Special
- Super
- Shark
中出力
- Secret
- Supercharged Studebaker
低出力
- Retro
- Hot Retro
- Angry Retro
- Studebaker
特殊
- Super-X (SuperとRETROを切り替え可能)
高中低で区分けしましたが、一番上が最もハイパワーで下になるほど低出力です。
たくさん種類がありますがSuperが乗っている個体が多い印象です。
Superは高出力ながら分離の良い音で、タイラーの優秀なコントロール系統と相まって汎用性が高くハズレの無いチョイスだと思います。
私はCalifornia Special搭載のクラシックを所有してるのですが、Superよりさらにローミッドが厚く出てくるので「とにかくパワーで弾くんじゃい!!」という人にはCalifornia Specialもオススメです。
その他だとフロント、センター
シングルコイル
- JTS2250
- JTS2500
- JTS2 Hot Laura
- JTS3250
- JTS 3500
- JTS5250
- JTS5500 (スタジオエリート、クラシック共に基本的にこれ)
- JTS5 Hot Laura
- Stingray
- Stingray 500
特殊
- alligator (タイラーバスターに搭載されているモデル)
シングルコイルについてはあんまり情報が無いのですが、フロント、センターにはJTS5500が乗っている事が多いです。
おわり
ざっくりなまとめですが、これを元にすればギター選びが捗るんじゃないかな!!と思います。
今回はボディフィニッシュの種類については省きましたが暇があったら追記します。